SDGsに中小企業が取り組む条件

10数年前に、排水や廃棄物などを外部流出させない宿泊施設を作られて今も運営されている中小企業があります。

海に面していて、緑豊かな敷地を購入し、その数%だけを施設として開発し、そこ以外は手つかずの原生林を残しています。

海と山の自然を本当の意味で守るためには、そこに分け入ったことで何らかの変化を環境に与えることはあってはならないと。

今流行りのSDGsを実践されている。

宿泊できる部屋数は数えるほどであり、プライベート感は抜群。海に突き出した崖にうっそうと生える原生林の中にポツリと存在する施設の中で自然そのもの、ときには自然の脅威までもをも感じることに価値基準を置いている。

料理の質は超一流。

そのかわり宿泊料はかなりのものです。

わたしは、お恥ずかしながら、中小企業がSDGsを経営に取り入れるのは正直言ってムリだという考えでいました。

しかし、その経営者の方は世の中の先を読みながら、自社が生き残って行くためにはいかに顧客に価値提供するかというところからスタートして、そのために何が必要かを常に考えているそうです。

その会社では食がキーポイントの一つと考えており、食を支えるのは一次産業に従事される地域の人や自然環境であり、支えてくれる環境を守るために何が必要かを考えて具体的な貢献活動までつなげています。

環境保全など、大きなところから考えるのではなく、自社の経営のためにという視点から広げていくことが必要なのだと学びました。

しかし、大きなことまで考慮してビジネスをしようとなると、必ずコストアップがついて回るため、そのコストを回収する必要がある。

ただ単に顧客に転嫁するのではなく、コストがかかる取り組み自体を価値に変えることと、自社が生み出す本質的な価値そのものを高めるために、たゆまぬ努力が必要ということだと思います。

なぜなら、先ほどの企業では、徹底的に一流の食やサービスを研究し続けており、世界的に有名なガイドブックで星を獲得しています。まずはこちらがあってのことですね。

「とても高くて泊まれないよー」

それでもわたしは、SDGsに傾倒することはないと思います。ここまで本質を極めていない会社が多いから、まずはそこからです。

でも、少しでも今回の学びを活かしてみたいと思います。