技能実習生との心温まる懇親会 〜ベトナムと日本、異文化交流の現場から〜
先日、顧問先企業様の社内懇親会にお招きいただく機会がありました。場所は地元の焼肉店。セルフサービスのビール、香ばしい焼肉の香り、そして何より社員の皆さんの明るい笑顔に包まれた、素敵な夜となりました。
特に印象に残っているのは、ベトナム人技能実習生のTさんとのひとときです。私が席を立ってドリンクバーへビールを注ぎに行くと、Tさんも同じタイミングでジョッキを持って立ち上がりました。
「一緒に行きましょうか」
私の言葉に、Tさんは照れくさそうに笑顔を見せました。
普段は日本語に自信が持てず、控えめに過ごしているというTさん。しかし、この日は違いました。ビールを注ぎながら、母国のこと、日本での暮らし、そして仕事のことなど、次々と話題が広がっていきます。
「日本のビールは5%程度じゃないですか。ベトナムには8%のものもありますよ。これくらいなら、いくらでも飲めます!」
Tさんは少し自慢げに、母国のビールの話を披露してくれました。
実は私も仕事でベトナムを20回ほど訪問し、現地のビールを楽しんできた経験があります。よく飲んでいた「333(バーバーバー)」や「ビアサイゴン」は、確か日本のビールと同じような度数だったはず。8%のビールがあるという話は初耳で、まだまだベトナムについて知らないことが多いと実感させられました。
異国の地で暮らす人々との会話は、いつも新しい発見に満ちています。私たちが知っているつもりになっている文化や習慣も、実は表面的な理解に過ぎないのかもしれません。
話が進むうちに、Tさんの週末の過ごし方も知ることができました。友人たちを誘って、ビールを何ケースも開けながら過ごすのだとか。その話を聞きながら、私の心の中に少しの複雑な思いが芽生えました。
実は、Tさんには母国に奥さんと2人のお子さんがいるそうです。家族と離れて暮らす寂しさを、週末のお酒で紛らわせているのかもしれない。その推測が、私の胸を少し締め付けました。
技能実習生として来日する方々の多くは、より良い収入を求めて、愛する家族との別離を選択します。その決断の重さを、私たちはどこまで理解できているでしょうか。
テーブルに戻ると、周りの日本人社員の方々も自然とTさんの話に耳を傾け、冗談を交わし合う和やかな雰囲気に。普段の業務では見られない、社員同士の新しい一面を発見できる貴重な時間となりました。
コンサルタントとして、数字や制度の相談に乗ることは日常的な業務です。しかし、このような懇親の場で垣間見える社員の方々の生活や想いに触れることで、より深い視点でのサポートの必要性を感じています。
ベトナムという国を知っているつもりでいた私ですが、Tさんとの会話は、新たな気づきの連続でした。こうした一つ一つの出会いが、私たちの視野を広げ、より良いサポートへとつながっていくのだと思います。
働く人それぞれに、様々な背景があり、喜びも悩みもあります。特に海外から来日している方々には、私たちの想像以上の苦労があるのかもしれません。企業の支援者として、そういった面にも目を向けていく必要があるのではないでしょうか。
改めて、お招きいただいた社長、そして貴重な時間を共有してくださった社員の皆様に、心より感謝申し上げます。
このような出会いと気づきを大切にしながら、これからも皆様のより良いサポートができるよう、精進してまいります。