今知りたい、効果的なリテンション対応
金融機関の支店長から、若手がすぐに辞めていくというお話をうかがいました。
会社に入って数年は待遇面で隣の芝生が青く見える時期でもあるし、金融機関の初任給は低く抑えられていて実際に最初の頃はまわりの友達よりも低いことがあるかもしれません。
若手が辞めることは他の金融機関でもよく聞く話で、とても大変なことですよね。
コストをかけて採用して、育成している途中で辞められたら何もならない。まだ稼ぐまでの仕事ができていないわけですから。
ある会社では新入社員の家庭訪問をしていると聞きます。新人が入社後に違和感を感じて退職するかどうか判断する時に、親の影響力が大きいからという理由でやっていると。
離職防止策のことをリテンション対応と呼ぶのですが、効果があるといわれるのは、コミュニケーションの活性化、待遇改善、能力開発・教育制度だそうです。
待遇改善は限界がありますよね。不満足にならない程度に、かつできる範囲で改善していくということが現実的です。
教育もコストはかかりますが、これはリテンション対応のためにやるようなものではなく、会社の戦略の一つとして人材を育成するために当然やらなければならないことでしょう。
残るはコミュニケーションの活性化ですが、ただコミュニケーションを取ればいいというものではなく、頻度と内容が重要です。
離職の原因はさまざまにあるのでしょうが、要するに働く側が考える仕事と生活に対する思いや理想と、会社の方針やあり方にギャップが生まれて、それが大きくなると、その会社で働き続けて良いのか?と考え始めるのではないでしょうか。
そのギャップの存在に働く側、会社側のお互いが気づける機会として「コミュニケーションの場」が必要なのだと思います。
しかも、人の気持ちや考えは日々変化していくものだから、結構頻繁にやらないと、いつのまにかギャップが大きくなっており、取り返しがつかなくなってしまう。
そう考えると、社員とのオフィシャルな面談をできれば3ヶ月に一回ぐらいできると良さそうです。しかし、わたしが関わっている中小企業さんでは経験上、半年に一回の面談をすることで精一杯ですし、それで十分なのではと感じています。
離職防止のためには、会社のあり方と社員の仕事と生活のスタイルをどこまで近づけられるか、お互いにすり合わせする時間を持つことだ!
「わたしも銀行を辞めた立場なので、この話題を取り上げて良いものか悩むなー。半年に一回の面談もあったし・・・。」
先日顧問先企業さんで面談に同席していたら、2名が立て続けに退職を申し出てくるということがありました。
面談が退職を誘発したみたいになってしまったか!?
実は業務遂行に問題がある方達で、面談でその指摘をしようとした矢先だったものですから、いたしかたないということになりました。
この方々は会社の方針と自分の方向性と合わないということで、それを修正する気がないようで、面談前から腹は決まっていた様子でした。
リテンション対策には面談だと書いておきながら、面談が離職を促進しているじゃないかと言われそうですね。
しかし、ギャップをはっきりとさせる機会がなければ、本人もモヤモヤしながら働くことになりますし、会社としてもパフォーマンスが悪化している原因を知ることもできません。
ということで、ギャップに気づいて、お互いにギャップを埋める努力をする機会を得ることは、さまざまな面で必要なわけですから、ぜひ半年ごとの面談を取り入れてみてください。