テクノロジーを生かす社会背景

ベトナムで移動する時には、GRABタクシーアプリがとても便利です。スマホのGoogleマップで行きたい場所を日本語で検索して出てきた住所を、GRABタクシーアプリの行き先に貼り付けて近くの車やバイクを探せば、アプリ上に料金と所要時間がすぐに出てきます。それでOKならボタンを押すと数分でタクシーがやってきます。

ドライバーとの会話はほとんど不要で、自動的に行き先まで連れていってもらい、支払いはアプリで登録済みのクレジットカード引き落としになるため、着いたら「Thank you」と言って降りるだけ。

カンボジア、シンガポールやインドネシアでも同じアプリでタクシーを利用できました。初めて訪問した国でも自分が行きたいところにスイスイ行けるので、行動範囲はとても広がります。しかも通常のタクシーよりも料金が安い!

歩くにはしんどいなと思うような距離ってありますよね。GRABバイクだと数十円で済んでしまうことも。

日本では、既存のタクシー会社が配車アプリとしてuberや独自のアプリを活用する動きはありますが根本的なサービス革新にはなっていません。プレーヤーが同じということは車の台数は従来と同じで限られているわけで、少し郊外の駅前でアプリを利用してみても近くに配車可能な車がいないということになり、実用レベルにないと言わざるを得ません。

アフリカのルワンダでは、ドローンで医療資材を配達するビジネスが成立しているようです。既得権、安全面への配慮、さまざまな規制が整う前だと新しいテクノロジーを一気に社会インフラとして導入しやすい面があり、ベトナムでも配車アプリのビジネスが成立する背景になっています。

日本でテクノロジーを使って新しいビジネスを導入しようとすると、当局の許可を得るためのハードルが高すぎて、起業間もないスタートアップや中小企業では太刀打ちできません。自動運転の世界もすぐそこにきていますが、このビジネスチャンスを掴むのは、大手企業以外はなかなか難しいというのが正直な感想です。