動画で作業マニュアルをつくるスキル

作業マニュアルを動画で残そうという取り組みが増えています。

しかしすべての撮影者がその作業の大事なポイント、すなわち急所をわかって撮影しているかというと、そうではないケースもあるようです。

一区切りの作業の中で本当に伝えづらい急所は1〜2カ所です。

作業の急所を見抜くためには

その急所を見抜くスキルというのはトレーニングすれば身につくもので、よくある着眼点としては、ちょっとした指の動きや構え、視線の方向、力加減、加工物の動かし方などです。

熟練作業者が繰り返し作業するのを観察していると漫然と見ているだけでは見逃してしまいがちな、一瞬の動きがあったりします。

動作を見ていて「なぜあの動作をやってるんだろう?」と思うことができればこっちのもの!

前述の着眼点で動きを見ながら、たとえば「その左手の人差し指はどうしてるんですか?」とか、「今どこを見てますか?」など着眼したことを問いかけて答えてもらいます。

具体的な急所の見つけ方と撮影方法

今日も、ある金属部材の接合作業を動画撮影しました。撮影前に作業を分解します。この作業では2つ目のステップで部材の両端面の位置を調整しながら水平に合わせて固定するやり方にもっとも重要な急所がありました。動画では、レバーを揺らしながら挟んで位置を決めるための微妙な繰り返し動作と、両端を水平に合わせるときに見る部分を、作業者の目線に合わせた位置から部材を撮影しました。

主なステップ 急所 急所の理由
1.接合部位を斜めに研磨する

左手の人差し指で支えながら

部材がブレるから

2.接合機の奥で挟んで水平に合わせる

1.レバーを揺らしながら

2.奥を面一に

3.斜め上から覗いて

1.部材の位置が固定されてしまうから

2.正しく接合できないから

3.奥の水平が見えないから

3.接合ボタンを押す    
4.手前で挟み直す    
5.焼きなましボタンを押す 接合部に手を被せながら 部材に熱が入っているか見えないから

 

無意識でやっていることだけど、重要そうなことをいかに発見するか。撮影者にはそのようなスキルが必要です。

加工をできあがらせるか、ダメにしてしまうかに関わること、安全面を担保するもの、やりやすさを追求した方法などが急所になりえます。そして、動作を観察する着眼点が先に述べた熟練作業者の無意識動作となります。

動画を使った作業マニュアルは、作業者が無意識でやっている急所を見抜いて撮影しろ!

作業者との信頼関係

作業者はじっと見られていると、いつものやり方ではない作業方法をすることがあります。そんな時は「いつも通りに、もう一度最初からやっていただけますか?」とお願いしましょう。

動画を撮影するときには、作業者との信頼関係が前提になることは言うまでもないことですね。