一生役に立つ「分析力」

分析がうまくいかない

今日から製造業の診断実務補習が始まりました。みなさんとても頑張っています!

わたしは中小企業診断士の診断実習指導を年間で4回ほど担当しています。これから中小企業診断士として活躍しようというみなさんと一緒に診断をさせていただく機会とご縁に恵まれていて、とてもありがたいです。

ところで、診断では外部環境のPEST分析や5フォース分析など、内部環境の財務分析や業務フロー分析、PQ分析などさまざまな角度から分析を行います。

ただデータを集めるだけでなく、分析結果から何が言えるのか結論づけることが重要なのですが、分析がなかなかうまくいかないこともあります。

どんな時に分析がうまくいかないかを考えてみます。

1.企業の姿がつかめていないとき
業界やビジネスモデルがわかっていないと、比較対象とする業界や企業も定まらないため、適切な分析ができません。

2.仮説なしで分析を始める
「こういうことがわかるのではないか?」と仮説を持って分析すると、分析の切り口や手法がクリアになり分析自体もはかどりますし、出てくる結論も明確なものになります。逆に、仮説がないと漫然とデータを扱うことになって時間がかかってしまい、結局何のために分析したのかわからなくなってしまうことがあります。

3.分析のためのフレームワークが使えない
分析をするときの切り口に使うフレームワークは、論理的に考えるための思考ツールです。一見意味のない情報やデータをフレームワークに当てはめてみると、意味を持ったものになることがあります。しかし、フレームワーク自体を知らなかったり、知っているけれど使う場面を理解していなかったりすると活用はできません。

使えるフレームワークを身につけるには

こうしてみると、まずはフレームワークを使えるようにする必要がありそうです。

そのためには、経営に関する幅広い知識の勉強をしなければなりません。戦略やマーケティング、人事組織、財務会計、生産や店舗運営管理などの知識をただ覚えるのではなく、”体系的に”アタマに叩きこむことが必要です。

アタマの中にある知識体系を、必要な場面で、必要な部分だけ切り出して、フレームワークとして活用するというイメージです。

企業に関わる情報を集めて、切り出したフレームワークに当てはめて分析する。分析のたびに仮説を出して検証する。これを繰り返せば企業の実態がわかってくるので、あらためて比較する業界などを決めて分析し直す。

こんな作業を繰り返すことで分析がうまく回っていくのではないでしょうか。

使えるフレームワークを増やせ!

「なんだ、結局勉強しないとダメなのか」

分析→仮説→検証サイクルを回そう

そもそも分析は、ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。この分解のための切り口がフレームワークです。しかし、中身がわかるだけでは「だから何なの?」となってしまう。中身がわかったら、その中身が「なぜそうなっているのか?」と自問する。そして、「こうだからなのでは?」というのが自分で考えた仮説となる。仮説は必ず検証して自説とする

こんなイメージを持つことができれば、分析がうまく進むのではないでしょうか。