中小企業診断士の本分

現在、中小企業診断士登録養成課程の製造業診断実習の指導を行なっています。

養成課程とは、診断士資格試験の一次試験合格者の方が受講される学校で、1〜2年の課程を修了すれば資格を取得できるというものです。

診断実習というのは、実際の中小企業様に訪問し、製造現場の改善策や経営戦略の提案などコンサルタントとしての実務ができるようにトレーニングするプログラムです。

「経営の現場」で超実践的にコンサルスキルを鍛えることができるため、スキル・トレーニングという意味ではこれ以上ないシチュエーションです。

その舞台をご提供いただいた企業様に感謝の意を込めて、少しでもお役に立てるように、実習メンバーは寝る間も惜しんで調査!分析!調査!分析!議論!議論!議論!アウトプット!で提案に到るまでのロジック突き詰めて行きます。

調査内容としては、会社の歴史、ビジョン、ビジネスモデル、日頃課題と考えていることの詳細などの経営者ヒアリング、製造現場の人・モノ・情報の動きや流れについて観測してデータをとったり、帳票やPCのデータを収集したり、財務分析や、従業員アンケートとヒアリングなど、ここに書ききれないほどの調査を実施して、多面的かつロジカルに現状を把握します。

次に、調査で得たデータを分析してそこから何が言えるのかを徹底的に考えます。経営者はなぜ○○ということを課題と感じているのか?集めた事実からどんな仮説が立てられるのか?そして、検証結果として何をどうすれば業績が向上するのか?ということについて議論を尽くします。

しかも、コンサル対象として想定しているのが中小企業様であるということは重要なポイントです。なぜなら論理的には正しい解決策でも、経営資源が限られる中小企業には実行がむずかしいということはいくらでもあるからです。

中小企業診断士は、この前提について十分理解したうえで、明日からやれる、お金をあまりかけずにできるというコンセプトで問題を解決する方法を提案しなければならない!!という「離れ業」を要求されているのです。

中小企業診断士って何ができるの?何をする人なの?という方もいらっしゃるかと思いますが、上記のようなトレーニングを積んでいるわけですから、中小企業診断士の本分は「中小企業の経営診断」であると私は確信しています。

私は、実習生が中小企業診断士になられたときに「経営のお悩みを解決するために、経営診断をさせていただければ、必ずお役に立つことができます!」と自信を持って言えるようになってほしいと思いながら指導しています。

ですから中小企業経営者のみなさん、経営でお悩みのときには中小企業診断士にご相談ください。そうすれば、貴社のご事情に合った解決策が見つかりますよ!!