値上げ交渉の前に準備すること

物価上昇の影響もありますが、固定費というものは自然と増えていくものだなということが実感でした。

ある製造業さんより、原価割れしている製品がありそうだということで原価計算のご支援をさせていただきました。

まずは、部門別原価計算をすることでその主要製品にどの程度の原価がかかっているのかを明らかにしたところ、やはり大きくマイナスになっていることがわかりました。

原因としては引き合い時の見積もりに使っているチャージ金額の設定が古いものになっていたことと、営業的にムリしてとったという政策的な面とがあったとのこと。

経営者としてはなんとなく採算が合っていないだろうなと思いつつ、上記の認識もあることから、見て見ぬ振りをしてきたと反省の弁を述べられました。

次に、実際に値上げ交渉ということになると、この原価のデータをそのまま提示してもなかなか応じてもらえないだろうということで、交渉に向けた作戦を練りました。

まずは、現在の産業界において値段が上がっていると誰もが認識している項目について、自社の費用負担がどれぐらい増加しているのかを調べることに。

人件費、運送費、燃料費、水道光熱費など。

10年前と比較して何%上がったかを算出すると、相当な割合で上がっているデータが揃います。

ただ、10年前と今とでは従業員の数も増えているし、使っている機械も増加しているなど単純比較ができないということになったため、従業員1人あたりの固定費がどれだけ変化したかを計算してみよう!となり、実際に計算すると25%上昇していることが判明しました。

さらに、直近3年だと年平均で10数%上がり続けていることもわかったことで、値上げ率についての根拠として交渉に臨むことになりました。

値上げ交渉に向けて、10年前と現在の従業員一人当たり固定費を計算してみよう!

「やっぱりコスト意識って大切だよね」

ふと弊事務所の固定費のことも頭をよぎり、ムダなサブスクを1つ解約することができました。

過去のデータと今を比較してみると、思わぬ発見があるものですね。