これだけで製造現場が変わる?
製造業のコンサルティングや診断を実施すると、こんな社長の悩みを打ち明けられることがあります。
「遅くまで残業しなければならないほど忙しい人がいるのに、仕事が終わると定時でさっさと帰ってしまう人もいる」
「うちの社員はなぜ、帰る前に手伝いましょうかのひと言がいえないのかなぁ」
そういう問題を抱えた会社の工場をよく見ると、誰がいつまでに何をどれだけ作るのか、まったくわからない状態であることがよくあります。
つまり、作業指示書や図面は各個人の作業場や機械の横の台に置いてあり、それを一つ一つ見ていけば、今この人が何を作っているのかはわかりますが、作業者同士がそのようなことをする時間はなく、それぞれが作業に専念しています。
この状態では、隣の人が何をやっているのかなんて正確にわかりませんよね。
工場長は何してるんだ?と思われるかもしれませんが、中小零細企業の工場長は工場の中で職人としてものづくりに一番精通している人が担当しているケースが多いため、ご自身も生産に追われています。
こういう工場長はマネジメント的なことが苦手ですし、そもそもやり方も教わっていないので、それを役割として認識していないようです。
こんな時は、本当に当たり前なことなのですが、生産予定を工場に貼り出したり、ホワイトボードに書いたりして、全員に負荷の状況を知らしめることから始めます。
現在の受注状況、月、週の生産予定を社長と工場長で打ち合わせるミーティングも必ずやってもらいます。
特別なことはやりません。
今週の生産予定ぐらいは工場の全員が見えるところに貼り出そう!
「次は特急対応とか、納期が曖昧なものが先送りになるとかいう問題がでてくるだろうな」
これをやっても、先に帰る人は帰ってしまうということもあるとは思います。
むしろ今の時代は定時に帰れるほうが良いわけですから、そのためにどうするのか議論を始めていくべきでしょう。
みんなが協力しても残業が必要な時に手伝えないような人は、なんとなく居心地が悪くなって自然と辞めていくこともよくあります。
こうして職場が良くなっていくものだと、わたしは確信しています。