事業性評価の意外な方法
会社を見る目を養おう
会社の良し悪しを簡単に判断できるといいですよね。
今日は会社を見る目を養う方法について書いていきます。
金融機関では、事業性を評価して融資をしなさいという当局の指針が出ています。しかし、なかなかできていないということも聞かれます。
わたしは、事業性を評価するためには、その会社のビジネスモデルを理解するところから始まると認識しています。
しかし、ビジネスモデルを理解する方法がわからずに、本質的なところまでたどり着けずにいることが多いのではないかと思っています。
実はあるポイントを意識して分析すれば、そのモヤモヤを晴らすことができますので、今日はそちらをお伝えします。
ビジネスモデルの本質的な理解のためには、利益の源泉をとことん突き止めろ!
経営診断を実施するときにはこの手法で会社の現状を把握します。
ポイントは次の3つです。
- ビジネスモデルを図解する
- 売上カテゴリー別利益率を計算して図に書き込む
- 図を見ながら利益率の差が発生する原因を突き止める
以上です。
簡単そうでしょ?
1.ビジネスモデルを図解する
四角の箱と矢印で取引関係を簡単な図に表します。四角の中には分析対象会社、顧客、協力会社などをあらわして、お金とモノ・サービスの流れを矢印であらわします。よくあるチャート図ですね。
とくに顧客との間にある矢印に注目して、そこでどのようなやりとりがなされているのか仮説を立てることです。
どんな会社でも、取引先ごとに力関係が違っているはずですし、そこでどんな商談が展開されているのかを想像するのです。
たとえばこんな感じ。
「おたくの見積もりはいつも高いですよね」
「そりゃ、こんな複雑な形状のものをつくるんだで、こんだけ時間がかかるんだし、それに他の会社ではこんなの作れんでしょ〜!」
(どうやら名古屋の会社のようです)
「それにしても高すぎますよ」
「ほんなら、他に頼めばいいがね!ウチはこれ以上下げれんでね」
「かないませんね・・・わかりました。じゃあ納期までにお願いしますよ」
「納期守るのは当たり前だがね!あんたんとこに迷惑かけたことあるか〜?まかせといてよ」
技術力があるとか、特別な設備があるとか、何らかの差別化要素があるとこの名古屋の企業のように強気で商談できますよね。
逆にどこでもできる仕事であれば、発注者が強気で交渉しているでしょう。
こんなことを妄想しながら図解するのも楽しいです。
2.売上カテゴリー別利益率を計算して図に書き込む
妄想を現実のものとするために、事実情報にあたりましょう。
ここでは、利益率を出すためのデータを入手しなければならないので、時にはお客様の販売管理ソフトを操作させていただきながら、分析に使えそうなものを探すこともあります。
そこまでのことができないケースもあります。
たとえば上場企業のビジネスモデルを分析するときなどは、有価証券報告書や決算発表資料、新聞や雑誌・ネットの取材記事から定性・定量情報を読み取っていけば概要はつかめます。
とにかく、上位の取引先別に儲かっているところと、そうでもないところを色分けします。
3.図を見ながら利益率の差が発生する原因を突き止める
そして、もっとも重要なのは利益率の差が発生する原因を考えることです。
つまり、業界における相対的な強みや差別化要素が利益率を高めることにつながるわけですから、その強みや差別化を作り上げている源流はどこにあるのかを掘り下げていきます。すべての神経をここに集中させるのです。
経営者がもっとも力を注いでいることやこだわり、会社の歴史で積み重ねてきたこと、働く人たちの考え方や知識スキルなどに強みの源泉があることが多いようです。
逆に儲かっていないのは競争力がない分野であり、これはわかりやすいでしょう。
これらのことがわかれば、会社の方向性や課題がはっきりとしてきます。
取引関係で言えば、どこを伸ばすべきかとか、どこから手を引くべきかということがわかってきます。
また、強みの源泉を維持すべきなのかとか、世の中の変化を合わせて考えると次の強みを見つける時期にあるかもしれないとか、具体的なアクションにつながる課題も見えてきます。
ビジネスモデルの本質的な理解のためには、利益の源泉がなにかを突き止めろ!
事業性の評価や、ビジネスモデルの理解をしようとしても、なんだか本質的なところまでたどり着いていないような感覚になることはないでしょうか。
3つのポイントを意識して分析すればビジネスモデルがスッキリ、ハッキリわかります。
営業、投資、融資、就職活動などさまざまな立場で、会社のことを客観的に評価する機会はあると思うので、是非やってみてください。