転職市場が変える経営戦略:中小企業で実践する即戦力育成とワークエンゲイジメント向上法
転職市場が活況です。
最近、転職エージェント企業の広告がとても目立つ気がします。リクルートエージェントやビズリーチ、エン転職などそのような企業の名前を日々刷り込まれている印象です。
私のような53歳のおっさんが若い頃は、終身雇用を前提に就職活動をしていた気がします。ちなみに私自身はそうではなかったのですが・・・。
当時は「35歳になったら転職することは不可能」というようなことも言われていましたし、私が勤めていた銀行業界では「銀行員は潰しが効かない」というような都市伝説がまことしやかに囁かれていました。
要するに”転職なんかうまくいかないよ、真面目に一つの会社でコツコツ働け”というような風潮だったわけです。
時代は大きく変わって、今の新卒者はキャリアアップのための転職を最初から視野に入れて会社選びをしているようです。そういう若者に「石の上にも三年だぞ!」とかいうおっさん世代の教えは届かないのでしょう(涙)
企業側としては、優秀な人材の引き留めのためのリテンション対策、ワークエンゲイジメントを高める活動とはどのようなものかというテーマについての関心が高まっているようで、私が実施させていただく管理職研修でもこれらの内容をカリキュラムに入れるような企画が増加しています。
ワークエンゲイジメントを高めると言っても、仕事観は人それぞれなので万人に効く対策は残念ながらないと思っています。個人個人の違いを見極めて、個別対応が必須なのでしょう。一つだけ言えるのは、自分が成長できると実感してもらい続けることが必要だということです。
会社としては転職してきた人には即戦力としての活躍を期待しているでしょうが、超優秀な人材は超大手から採用していくわけで、中小零細企業の経営者としてはすぐにバリバリやってくれることを期待しすぎず、自社に合った活躍の仕方を丁寧に教育する期間が必要ということと、”人は必ず成長する”という信念を持って中途採用者にも手厚い教育を用意することがワークエンゲイジメント対策になるのではと感じています。
私がオススメしたい教育テーマの一つが、仕事の進め方に関するものです。具体的には業務におけるセルフマネジメントの方法を理解し、実践できるようにするような内容です。大手企業にお勤めだった方は、新人研修から始まる研修制度や、日々の業務管理が仕組み化されていて、自然とタイムマネジメントやタスク管理、業績管理などの手法が個人のスキルに染み付くようになっているのだと思います。一方で中小零細企業ではそこまでの仕組みや教育が整っていない場合が多く、即実践ということで我流で仕事のやり方を構築している人が多いようです。
たとえば主にルーチン業務に従事されていた方が、営業職のように業務が多岐に渡り、自分自身で仕事をマネジメントする必要がある職種に転職してくると、まったく対応できないというケースが見られます。
そういうときには、指示を受ける際のメモの取り方や、タスクのチャンクダウン方法、自分だけでやる仕事をいつから始めるかを管理するスケジュール方法などを事細かく指導することで初めて業務をセルフマネジメントできるようになるのです。そのうえで、営業職に特化した営業プロセスやニーズ把握などの教育をするという流れを作るべきかなと思います。
「53歳のおっさんでも成長できるんだ!」
50代になった私も自分自身の成長を信じて、急速に進化している生成AIを中小企業さんで活用する方法を勉強しています。
身につけたスキルや知識を仕事に応用すると、人に役に立ったという実感を感じることができます。そういう経験を続けることで仕事への自信ややりがい、愛着が増していきます。これこそがワークエンゲイジメント向上の本質なのではないでしょうか。