組織は戦略に従うってなんだ? その3

経営者のビジョン実現のため環境変化に適合していくのが戦略だとすると、戦略遂行のために個人をとるか、組織をとるか、難しい判断を迫られる時がくるかもしれません。
そのときの参考になる事例をご紹介します。
影響力がある人が去ると、活かされる人材が出てくることを学びました。
以前、戦略が変わったことでやめていく社員が出てきて、人が入れ替わって組織が変わるという記事を書きました。
組織のどのような点が変わるのかについて事例をお話しします。
仕事のスキルが高いため、職場での影響力が高いけれど、協調性がない社員が辞めていったときの出来事。
その社員は辞める10年前から在籍しており、それより後に入社した社員が数名いる状況でした。
後発組には、その仕事が初めての人もいれば、キャリアを積んでしっかりとしたスキルを持った人もいました。
問題社員がやめた後に、仕事がなかなか覚えられず、ミスが多かった社員が急にやる気を出して活発に発言したり、以前はできなかったことに挑戦してできるようになり驚きました。
また、スキルを持った人は今まで自分の仕事のノウハウを周囲に伝えることに遠慮がちでしたが、前向きに業務改善の提案をしてくれたり、後進の指導にあたることを買って出てくれるようになったのです。
後から入ってきた人はかなり遠慮していたようです。
影響力がある社員がにらみをきかせているので、初心者はなにも言えない。
また、相手のプライドを傷つけてしまうことを気にしてか、高スキル社員は遠慮せざるを得なかったようです。
問題社員が在籍していたときにこのことに気づいて対処すればよかったのかもしれませんが、組織内のパワーバランスを変えるのは難しいもので、とくに社員数が少ない中小企業の場合は一人の社員が組織にもたらす影響力は相当なものなのだと思います。
そこで、仕事では頼りになるけれど問題を起こす社員の扱いをどうするかは、戦略の変わり目でじっくり考えなければならないテーマになってきます。
経営者のみなさん、影響力がある社員の存在が、本来力のある多数の社員の動きを阻害している可能性があるかもしれませんよ。