経営改善を求められる理由 – 銀行からの改善計画提出要求
「銀行から突然、経営改善計画を出すように言われました」
このような相談を、最近特に多くいただいています。経営者の皆様にとって、なぜ銀行がこのような要求をするのか、その背景を理解することは重要です。今回は、その理由と対応方法についてお話しします。
銀行にとっての貸出金とは
まず、企業への貸出は銀行にとって大切な資産です。私たちが預金通帳を見るように、銀行も定期的に自分の資産を確認し、その価値が下がるリスクがないかどうかをチェックしています。
たとえば、1000万円を貸し出している企業が経営不振に陥ると、銀行はその1000万円が全額は戻ってこないかもしれないと考えます。そうなると、銀行は将来の損失に備えて「引当金」という形でお金を取り置きます。これは銀行の決算上の利益を減らすことになるため、銀行としては避けたい事態なのです。
銀行が警戒する二つのサイン
銀行が特に注目するのが「赤字」と「債務超過」です。
赤字とは簡単に言えば、事業で使ったお金より稼いだお金が少ない状態です。1年だけの赤字なら、銀行もそれほど心配しません。しかし、2年続けて赤字になると、銀行は真剣に心配し始めます。
さらに警戒されるのが債務超過です。これは会社の借金（負債）が、会社の全財産（資産）より多くなってしまった状態です。たとえば、会社の資産が3000万円なのに、借入金が4000万円あるような状況です。
なぜ改善計画が必要なのか
銀行からすれば、赤字が続く会社や債務超過の会社にお金を貸すことは大きなリスクです。「このままでは貸したお金が戻ってこないかもしれない」という不安が生じるからです。
そこで銀行は企業に「どうやって経営を改善して、借りたお金を返済するつもりですか？」と尋ねます。その答えとなるのが経営改善計画なのです。
求められる改善計画の中身
銀行が求めているのは「具体的で実現可能な計画」です。「なんとかなるはず」「頑張ります」といった漠然とした内容では、銀行の信頼は得られません。
銀行を納得させるためには、以下のような点を明確に示す必要があります：
- 現在の経営状況の分析と課題の把握
- 赤字の原因と具体的な解決方法
- 実現可能な売上・利益の見込み
- 確実な返済計画
本来は、ここまでのものが必要と言われる前に赤字をなんとかできると良いのですが、そもそもその道筋がわからないから今の状況になっているのだと思います。
当然ですが、銀行対策としての計画づくりが目的ではなく、実質的な収益改善をして社員に報いることや、あたためている新規事業に挑戦する、精度の高い最新設備を購入するなど、経営者のみなさんがやりたいことに取り組める状況に戻すことが目的のはずです。
そのようなささやかな社長の願いを、少しでも早く叶えることに貢献したいと私は思っています。
