リスケ中でも融資を受けるには

リスケ融資先の銀行内での位置付け

リスケをすると、貸出条件緩和債権として扱われます。貸出条件緩和債権とは、貸出時に約束した返済予定が守られずに減額になったり、期日が延長されたりと貸した側にとって不利に働く、借りた側にとって有利に働く条件変更を行なった融資のことです。予定通り回収できないということで、銀行にとって貸倒れリスクが高まるという観点から貸倒引当金を積み増ししなければならなくなります。その融資から得られる金利収入よりも多い引当金を経費として計上するわけですから、赤字の取引ということになります。つまり、リスケ先は赤字取引先という位置付けになるわけです。

※厳密には担保や保証の状態により計算が変わってきます。また、金融検査マニュアル廃止によって引当金の考え方も銀行ごとに変化していくことが予想されています。

【例】

融資額100万円×金利1.0%=年間金利収入1万円 

問題ない先だと貸倒引当金は100万円×0.2%=2千円 8千円の利益 

リスケ先だと貸倒引当金は100万円×15%=15万円 14万円の赤字

リスケ中に融資は受けられるか

リスケ先に貸せば貸すほど銀行の赤字が増えるとなると、リスケ中に融資をするわけにはいかないですよね。こういう理由でリスケ中に融資を受けるのは難しくなります。

しかし、コロナ禍では銀行も社会的使命があるという特別中の特別な理由で融資を実行してもらえるケースもあります。実際コロナ禍は経営者の不可抗力であり、その影響部分においてのみ支援しましょうということは行われているようです。

コロナ禍でないときにも、たとえばメイン銀行がはっきりとしていて、かつ返済に回す資金が明確なつなぎ融資であればリスケ中でも融資を受けることができる場合があります。具体的な例として、建設業が工事案件を受注したとすると、外注業者への支払いが先行する一方で、建築代金回収は工事完成後になるといったケースがよくありますが、最後に回収する資金で返済するという約束でつなぎの融資が受けられるというものです。業種に限らず、いつまでに、いくら資金回収する予定で、それまでにいくら必要だから借り入れできないかという回収条件がはっきりしている事案であれば、リスケ中でも銀行に相談してみる価値はありそうです。

当然ですが、銀行も赤字が続くことを前提ではなかなか前向きに対応してくれません。この場合でも収益改善を伴う取り組みが求められるのはいうまでもありません。