後継者育成で失敗しないために!事業承継における会社の強みの伝え方

「後継者に『何を引き継ぐべきか』ハッキリすれば事業承継はうまくいく!」

ご子息に事業承継することを決めている経営者から、あと数年で社長を交代したいが、親子では後継者として育成することが難しいので、伴走してやってほしいというご相談がありました。

事前のヒアリングをする過程で、ご子息はとても真面目に仕事に取り組んでいるものの、自社のビジネスを継続するために最も重要な視点は何なのかについての認識が社長と共有されていないという印象を受けました。

自社の経営で大事にしていることを本質的に理解していないと、顧客対応や社員への指示の仕方などの細かなところで齟齬が出てしまいます。

圧倒的な技術力でオンリーワンの存在である!というほどの強みを持つ中小企業は少なく、たとえば小ロット短納期でも柔軟かつきめ細やかに対応するとか、きちんと設計図面までできていないがこういうものを作りたいというボヤッとした要望を形にすることができるなど、同業他社と比較して相対的に良いところがあるから選ばれているものです。

技術のような定量的なものではなく、定性的で、人間の感覚に訴えるような強みを持つと考えて良いと思います。

後継者の方には、このような一見つかみどころのない自社の強みを理解してもらうことがとても重要であり、難しいところでもあります。

事業承継の支援を通じて最も大切にしているのは、社長と後継者同席のもとで会社の強みが形成されてきたプロセスを共有するということです。

具体的には、社長が創業もしくは入社する前の仕事経験からうかがい、今の事業に関与し始めたころから現在に至るまでのターニングポイントとなる出来事や、こだわってきたこと、学んできたことを詳細にインタビューすることで、強みの源泉を浮き彫りにします。

社長のさまざまなエピソードを後継者が頭の中で追体験してもらうつもりで、できるだけそのときの情景が目に浮かぶぐらいまで詳しく聞き取ると、少なくともインタビュアーの私にとっては腹落ちする瞬間が訪れます。

あとは、後継者の方がどう感じてくれるのかですが。

「社長が築いてきた土台をしっかり使わせてもらい、その上に自分なりの構造物を作り上げていきましょう!」

後継者が自社ビジネスの要諦を考える前に、あらためて仕事の進め方の基本スキルから学ぶお手伝いもしています。