2期連続赤字でも、まだ間に合う!?──数字で見直す経営改善のはじめの一歩

2期連続赤字決算のあとは、資金繰りが苦しくなる可能性が大です!
長年にわたって経営を続けていれば、誰しも一度や二度は赤字を経験するものです。
特に、外部環境の大きな変化や新たな取り組みへのチャレンジのタイミングなど、一時的に利益が出せない年度があっても、それは経営上当然起こりうることです。金融機関もそれを理解しており、単年度の赤字については冷静に受け止めてくれることがほとんどです。
しかし、問題は「2期連続で赤字を出してしまった場合」です。
ここからは一気に“見え方”が変わります。
「慢性赤字ではないか?」という視線が注がれる
2期続けて赤字が続くと、外部からはこんな見方をされがちです。
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「構造的な問題を抱えているのでは?」 
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「経営者は抜本的な対策を講じていないのでは?」 
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「来期も赤字になるのではないか?」 
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「返済資金を生み出す力がすでに失われているのでは?」 
──つまり、「赤字が続いている」という“事実”以上に、その裏にある“経営の姿勢や再生可能性”を疑われるということです。
そして何より厄介なのは、金融機関がこのように不安を抱くと「貸しづらくなる」ことです。
自社の状況を「数字」で語れるようにする
このような局面で、経営者がまず取り組むべきことは、「数字で自社の状況を正しく把握すること」です。
主観ではなく、客観的な事実で社内外に語れるようにすること。それが危機を脱する第一歩になります。
では、どの数字から見ていけばよいのでしょうか?
まず着手すべきは、「売上高の推移」とその「内訳の変化」です。
・取引先別の構成比
・製品別の売上構成
・粗利益率の推移
といった基本的な構造を見ていきます。
それと合わせて、「取引先ミックス」「製品ミックス」が変化していないかをチェックする必要があります。
その変化が売上総利益にどのような影響を与えているか。
そして、その変化が「外部要因によるものか」「内部要因によるものか」を判断していきます。
原因に応じて対応策も変わる
原因が外部要因にある場合、たとえば…
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主要取引先の業績不振による受注減少 
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業界全体の需要低下 
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材料価格や人件費の急騰 
など、自社の努力ではどうにもならない状況であれば、固定費構造の見直しや、資金繰り安定のためのリスケジュール(返済条件の見直し)などが現実的な選択肢になります。
一方で、内部要因による場合、たとえば…
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営業活動の停滞 
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製品・サービスの競争力低下 
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値決め(価格交渉)の弱さ 
といった課題であれば、値上げ交渉や営業体制の再構築、製品ラインナップの見直しといった“攻めの改善”が必要です。
どちらにしても、「数字で状況を特定し、対策に結びつける」ことが鍵になります。
自社を数字で見つめ直そう!
正直なところ、悪い数字ほど見たくない。
それはどの経営者でも同じです。
でも、そこを「見て見ぬふり」してしまっては、事態は悪化の一途をたどります。
今の時点で「なんとかしなきゃ」と思っているなら、もう一歩踏み込んで「どこが悪いのか?」「なぜそうなったのか?」を数字で確認してみましょう。
──自社を、数字で見つめ直そう。
経営者自身が確信を持てるかがカギ
私がこれまで支援してきた多くの企業でも、「なんとなく良くないとは思っているけれど、どこから手をつけていいかわからない」というケースが多くありました。
実は、経営者自身もうすうす“やるべきこと”には気づいているのです。
でも、確信が持てない。だから社員にも展開できない。
だから行動も止まったままになってしまう──そんな状況です。
でも、数字は誰にとっても客観的で、説得力のある判断材料になります。
とくに、金融機関にとって「数字で語れる経営者」は信頼に値する存在です。
最後に──
実はうすうすやるべきことには気づいているけれど、確信がないから社員にも展開できないのかもしれません。
数字は誰にとっても客観的で強いものなので、説得力や納得感を持たせることができます。
ですから、そんなときこそ数字で問題を特定してみましょう。

