経営者の信用

中小企業さんで社員教育や社員面談をしていると、社長に対する苦言を聴くことがよくあります。

中には視座の低さからくるものや、視野が狭い指摘など、経営者との立場の違いに起因するものも多く、その場合はコンサルタントの客観的な立場から見た意見を申し上げることで誤解や誤認を解消するようにしています。

しかし、明らかに経営者の行動に問題があるケースもあります。たとえば、好き嫌いで社員を評価していることには社員は敏感に反応します。持ち前のコミュニケーション力を駆使して成果を上げている社員に対して、思考系に偏った経営者は「あいつはバカだから」と全く評価しようとしないことがありました。一方で、自分の友達を社員に引き入れたものの全く成績を残せない者には、「あの人はいい人だから」とマイナス評価はしようとしない。

別の例では、数字だけ見ていて、現場には全く顔を出さない経営者もいます。そのデータの分析は素晴らしく的を射ていますが、数字はあくまでも結果です。その結果を引き起こしている原因は現場にあるはずなのに、それを自分の目で見ようとしない。そのくせ数字から推測した原因への対策を思いついたように現場に指示する。社員はこういう経営者の思考回路をよく見ていて、優秀な人ほど「数字合わせをしておけば文句を言われない」という判断をしてしまい、不正まではいかないまでも小手先でとりつくろう方に走りがちです。

経営の一側面は組織を動かして成果を上げることですが、このような経営者は社員から信用されず、いくら的確な指示をしたとしても、だれも動かないということになります。

コンサルタントとしても、経営者の信用回復のためにまずは諫言してみるものの、場合によっては受容していただけずに会社が変わるチャンスを逃してしまうこともあります。ここは私の力量が不足する部分と反省するところです。社員がすべてではないですが、社員を通じてお客様に接しているということを考えると会社の信用にも関わってくる経営者の信用問題には、これからも取り組んでいきます。