1on1面談を効果的なものにするためには、感情的なアプローチから入ってみよう
はじめに:面談が「重たい時間」になっていないか
管理職にとって、部下との面談は重要な仕事の一つです。
目標設定面談、評価面談、1on1…。
制度上は「成長支援の場」と位置づけられているものの、実際には
「何をどう話せばいいのかわからない」
「本音を聞き出せている気がしない」
そんなモヤモヤを抱えながら面談に臨んでいる方も多いのではないでしょうか。
面談が形式的になり、
言うべきことは言ったけれど、部下の行動は何も変わらない。
もしそんな経験があるなら、入り口を少し変えるだけで状況が変わる可能性があります。
きっかけ:管理職研修のロールプレイで見えた“ある傾向”
ある企業で、管理職向けに人事評価制度運用の研修を実施しました。
その中で、実践編として「部下との目標設定面談」のロールプレイング演習を行いました。
講師側から提示した事例には、
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部下の置かれている状況
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上司としてのミッション
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部下が内心で感じている本音
といった情報があらかじめ整理されています。
それを踏まえたうえで、上司役・部下役に分かれてロープレをしてもらいました。
すると、ある共通した傾向が見えてきました。
上司役の多くの方が、面談の冒頭でいきなり問題点を指摘するのです。
たとえば――
職人肌で「自分は自力でスキルを身につけてきた」という自負を持つベテラン社員に対して、
「部下指導をしっかりやってくれないと困る」
と、いきなり切り出すケース。
責任感があるからこそ、
「伝えるべきことを伝えなければ」
「会社として求める姿勢を示さなければ」
そう考えての発言だということは、よく分かります。
部下の側で何が起きているのか
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてください。
部下がその面談を
「自分を糾弾される場」
「ダメ出しを受ける時間」
と受け取ってしまったら、どうなるでしょうか。
おそらく、心の中ではこう思うはずです。
「とりあえず黙って聞いておけば終わる」
「反論してもいいことはない」
この状態では、面談後に行動が変わることは期待できません。
その場をやり過ごすことが、最優先事項になってしまうからです。
一方で、部下の多くは
「自分に課題があるなら率直に教えてほしい」
「できるようになるなら改善したい」
と本心では思っています。
ただし問題は、
どうすればいいのか分からない
自分一人では解決手段を持っていない
という点にあります。
気づき:面談は「是正」ではなく「支援」の場
そこで、面談の進め方を改めて考えてみましょう。
いきなり問題を指摘して
「改善しろ」「こうしてほしい」
と言われても、部下は戸惑うだけです。
むしろ、面談時間の多くを
相手の不安・不満・認識している問題点を理解すること
に使ってみてはどうでしょうか。
ここで有効なのが、
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積極的傾聴
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共感しながら聴く
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反映的に聴く
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といったスキルです。
「あなたの話を、私はちゃんと聴いていますよ」
というサインを言葉や態度で送りながら、徹底的に聴く。
そうすると、
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相手が何に困っているのか
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何ができて、何ができていないのか
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何をしたいと思っているのか
というような観点の質問をしながら相手に話してもらうことで、少しずつクリアになってきます。
そのうえで初めて、
部下の期待と、上司・組織の期待をすり合わせながら
「では、どうするか?」を一緒に考えるフェーズに入るのです。
ここでようやく、
上司としての価値観
組織として大切にしている考え方
を伝え、部下の成長につながる一手を具体化していきます。
管理職の「実感」
このプロセスを説明したあと、ロールプレイを振り返ってもらいました。
すると、多くの管理職の方が、説明に使ったスライドを写メしに来られました。
これはつまり、
「問題を指摘するだけでは、人は動かない」
という感覚を、皆さん自身がどこかで感じていたということだと思います。
それでも信じたいこと
もちろん、
仕事に対する取り組み姿勢が問題外の部下もいるでしょう。
何度言っても変わらないケースもあります。
それでも、
相手の成長を信じて対峙し続ければ、何らかの変化につながる
私はそう信じています。
面談は、評価の場である前に、
部下指導の絶好のチャンスです。
一緒に解決策を探る時間なのです。
最後に:次の面談で、これだけやってみてください
次の面談の最初の10分は、
「指摘」を封印してみませんか?
評価も、改善要求も、正論も、いったん横に置く。
ただ、相手の話を聴くことに集中する。
そうすれば、
部下はきっと、自分のことを話し始めるはずです。
面談の質は、
最初の入り方でほぼ決まります。
感情に触れるところから始める――
それだけで、面談は「苦痛な時間」から「前に進む時間」に変わります。