仕事を客観視する意味

日本の伝統芸能である能の大成者世阿弥が残した言葉に「離見の見」というものがあります。

能を演じる時に、世阿弥が提唱した大切な視点は3つあります。

1)我見(自分が主体となる視点)

2)離見(相手から自分を見る視点)

3)離見の見(もっと引いて全体から見る視点)

研修やセミナーの講師をやっていると、プログラムをこなすことに必死になってしまい、自分が伝えたいことばかり話してしまうことがよくあります。

本来は、世阿弥の言葉のとおり、「離見」や、「離見の見を」意識して、受講者からどう見えているのか、自分と受講者との関係性はその瞬間、瞬間でどうなっているのか?といったまで気を配りながら進めるべきなのでしょう。

話は飛びますが、コンサルティングで問題解決する際には、現状分析でつかんだ具体的な情報をまとめたうえで、一旦抽象化することが必要です。「要するに何が問題なのか?」と情報全体を俯瞰して考える工程をいれています。

これがないと、局所的に勃発している問題を、一つづつモグラ叩きのように対策することしかできずに、本質的な解決に至りません。

これらのことを勘案すると、仕事の場面では、意識的に自分の体から幽体離脱をして高い目線から、人と人との関わり合いかたや、情報と情報の関係性について把握することで、伝えることや考えることの質を上げることができるのではないでしょうか。

「でも、一所懸命になると、視野が狭くなるんだよなぁ」

仕事や作業で行き詰りを感じたら、一旦は自分を含めた周りを冷静に見つめてみましょう。

そうすれば、次にの課題が見えてくるはずです。