フィードバック面談でフィードバックしない上司

半沢直樹で描かれているように、銀行組織の中では、出世できるかどうかがとても大切な価値観の一つとなっています。

それなりの大きさの組織だと、職能資格制度と役職が紐づいていますよね。

たとえば大卒の新人は10等級のうちの3級からスタートして◯年目で昇級して、役職がつくかつかないかの境目が5級になっていたりとか。

5級に昇級できる年次までは、同期のほぼ全員が基本的に横並びで進みます。

そして、その年がやってくると最短で上にあがれる者とそうでない者が明確にわかれ、悲喜こもごものドラマが生まれます。

かくいうわたしも、最短コースから外れた組の方であり、当時は人並みに落ち込んだことを覚えています。

上がれるか、上がれないかはその直前何年かの人事考課の平均が何点以上というような決まりがあり、どこかでペケがつくとボーダーを越えられず昇級がお預けとなります。

わたしはその評価対象となる年度のタイミングで、大規模な店舗に異動となりました。

それまではどうやら評価してもらっていたようでしたが、新しい店舗では、銀行にしてみると大所帯の組織で、それまでの仕事内容から数段レベルアップした働きを求められるなかで、最初のうちはなかなかついていけず苦労したと自分でも認識していました。

まわりも優秀な方々ばかりでしたし、相対的に評価が下がるのも仕方ないと。

ただ、ひとつだけ不満だったのは、評価に対するフィードバックがなかったことです。

具体的に要改善点はどこで、何をどう頑張れば良いのかをはっきりと伝えてもらえていたら、力の入れどころもわかってありがたいのに。

その後、自分なりに仕事のやり方を工夫したり、勉強したりして、それなりにできるようにはなったものの、もしその方向性が間違っていたら効率悪いですよね。

それを気づけるのも能力のうちだと言われたらそれまでなんですが、なにか違う気がします。

結局一年遅れで上げてもらうことになったのですが、組織の中で上を目指すためには仕事そのもの以外のことも重要になってきますよね。

「藤榮くん、せっかく良いもの持ってるんだから、もっと上手にやればいいのに」とこっそりアドバイスをしてくださる先輩もいました。

この頃からお客さんよりも、上を向きながら仕事をしなければならないプレッシャーを感じるとともに、それに違和感を覚え始めました。

仕事の価値はお客さんに喜んでもらうことだと思ってそれまでやってきたのに、価値は組織の論理と上司が決めるということで同じ会社で働いているのに、仕事のやり方が180度転換してしまった感じでした。

ただ、優秀な方はその両方ができるんですよね!!そういう人は組織で大きな仕事をやっていかれるのに適している。

わたしは仕事の質を上げてお客さんの役に立つことの方に価値観があったので、役職がついた数年間は矛盾を抱えながら仕事をしていました。

そんな時に中小企業診断士の資格試験に合格したのは、運命だったのかもしれません。

話がそれましたが、やはり評価時のフィードバックは必要ですよね。

どんなスキルを身につけて欲しいのか、何が不足していて、どうやったら成長できるのか、少しヒントがあるだけでも取り組みやすいはずです。

転勤初年度の面談のことを思い起こすと、当時の副支店長から「もっと早く稟議を出せばいいがや」の一言だけがあったことを記憶しています。

わたしはその一言だけを手がかりに、いかに早く稟議書を仕上げるかを考えたものです。

これってやっぱり不親切ですよね。

そもそもその副支店長とは普段からほとんど話したことがなく、部下側からすると何を考えているのかわからない人でした。

日頃からの信頼関係ができていないところで、よくわからないコメントをもらってもなぁというのが本音です。

また、フィードバックする際のフレームワークに「STAR」というものがあります。

「S」situation(状況)
「T」task(やるべきこと責務)
「A」action(とった行動)
「R」result(結果)

次のように実際に起きた事実をフレームに当てはめて整理して伝えます。

 貸出稟議書を提出するときに(S)

 夕方の社内メール便に間に合わせるべきだが(T)

 メール便に間に合わないことが3回続いた(A)

 毎度毎度、翌日に本部まで持ち込んでその往復の時間がムダ。他の業務にも支障が出た(R)

STARフレームワークできちんとした事実通知を行うことで、問題行動を客観的に伝えて共有することができます。

また、本人にも振り返りを促して、①何が起こったのか?②それは、なぜなのか?(何がこのままで良くて、何を変えなければならないのか)③これからどうするのか?について話してもらいます。

適切なフィードバックは、人材育成のための指針となる!

実は周回遅れでの昇級のタイミングと、新婚旅行の時期が直前で重なってしまいました。

内部昇格ということで、前任者の異動も重なって、引き継ぎのために、数十万円の旅行代金をドブに捨てたという苦い思い出もあります。

会社勤めは、人事に翻弄される日々ですよね。

独立するとそのようなこととは無縁になり、シンプルにお客様の方だけを向いて仕事ができるので、職人的な感覚のわたしには合っていると思っています。