「405事業」活用のポイント

今年の4月から、事業再生を公的な立場から支援する組織の「再生支援協議会」と「経営改善支援センター」が『中小企業活性化協議会』に統合されました。

中小企業活性化協議会は、自己資本が毀損し、大幅な債務超過に陥っている企業で、負債総額が大きかったり、従業員数を多く抱えており破綻に至ると地域経済社会に大きな影響を及ぼすような企業には、大掛かりな私的整理のスキームを動かす役割を担っています。

一方で、経営改善計画策定の際に専門家の力を借りる場合に使える制度として、専門家への支払い報酬を国が2/3補助する「405事業」というものの窓口にもなっています。上記に述べた大掛かりな再生スキームまでは必要としないが、2〜3期赤字が続いていてこのままだと資金繰りが厳しくなりそうだとか、債務超過に陥ってしまうというような段階の企業にとって、使い勝手の良い制度となっています。

私が考える「405事業」利用上のポイントとしては、数値計画策定前の事業面の調査(事業デューデリジェンス、事業DD)を専門家にしっかりとやってもらうことです。

黒字にするために、うまいこと数字合わせをしたところで、業務のやり方が変わらなければ数字に反映されません。

事業DDでは、定性・定量の両面から企業の実態を詳細につかみ、問題点を絞り込んで、具体的な改善の方向性を検討します。

最終的に、いつまでに、だれが、何を、どれだけ取り組んで、いくらの効果を出すかということまで落とし込んだアクションプランを考えます。

そこまでやって、ようやく意味のある経営改善計画が出来上がるのです。

数字合わせの計画は無意味だ!

コロナ融資の返済猶予期間が終了する企業さんも出てくるころです。返済が始まる前までに、今後の資金繰り面の不安解消のためにも、計画作りに取り組んでみてはいかがでしょうか。