知らないと損する決算書の読み方 最初にここを読め!貸借対照表編

あなたは、決算書を渡されたときにどこから見ますか?

今日は、とくに貸借対照表のどこを見れば良いかについて、少しだけ踏み込んでみたいと思います。

もう一段階掘り下げるための貸借対照表の分析の方法がわかってくると、決算書を読む力がついてきます。

決算書のページをめくったら、まずは純資産がプラスなのかを見ろ!

貸借対照表は主に安全性を判断するために分析するものです。今日ご紹介する方法は、わたしが銀行員時代に毎日繰り返し融資先の財務分析を仕事としてやってきた経験から身についたものです。3つのポイントは、決算書を手に取ると無意識に目線がいく順番にもなっています。

ポイントを3つお伝えすると、

  1. とにかく純資産の部がどれだけプラスかを見る
  2. 有利子負債が売上高に対してどれぐらいあるかを見る
  3. 売上を稼ぐのに貢献していない資産がないかを見る

です。

1.とにかく純資産の部がどれだけプラスかを見る

貸借対照表の右下に「純資産の部」があります。ここを見ると、過去にその会社がどれだけ利益を積み上げてきたか、赤字を出してきたかの結果がわかります。知らないと損する決算書の読み方 損益計算書編でもお伝えしたように、当期純利益または当期純損失がこの純資産の部に戻ってくるイメージでしたよね。また、貸借対照表の右側は資金の調達ということでした。赤字が累積すると自己資金での調達ではなく、負債、すなわち他人から借りてきたお金で運用することになるので、返済義務が発生して資金繰りが悪くなります。つまり安全性が低くなるわけです。

逆に利益が積み上がっていれば、自己資金での調達になるため返済不要なお金でビジネスに投資ができるため、返済不能=倒産のリスクが低くなります。自己資金は多ければ多いほど良いですよね。したがって、純資産の部が大きくプラスの会社はつぶれにくいと思えば良いわけです。

2.有利子負債が売上高に対してどれぐらいあるかを見る

有利子負債とは、主に金融機関からの借入金のことです。これが売上高と同じぐらいあるようだと、かなり返済が厳しい会社だといえるでしょう。売上高から原価を引いて、販売管理費を引いて、支払利息を引いて・・・とすべての費用を差し引いて残った当期純利益で借入金を返済することになります。頑張って利益を残しても、売上相当の借入金を返済しようとすると、かなりしんどいですよね。

3.売上を稼ぐのに貢献していない資産がないかを見る

貸借対照表の右側は運用でした。ビジネスで売上を稼ぐために投資をした対象が載っていますが、実はその中に結構な確率でしっかりと働いていないヤツがいるんです!たとえば在庫。たとえばアパレルの会社だと春夏物の在庫は来シーズンそのままの価格で売ることは難しいでしょう。製造業の倉庫の片隅に積み上がった段ボールの中に、間違えて発注してしまった原材料が眠っているかもしれません。

売掛金。商売をやっていると、ほぼ必ずと言って良いほど回収不能な売上が発生します。わたしも過去に何度かありました。貸倒になってしまった売上が売掛金の中に潜んでいるケースがあります。厳密に言えば売上には一旦貢献しているのですが、結果的に回収不能だと赤字要因になります。

フル生産を目指して設備投資したけれど、計画通りに受注がとれずに稼働率半分になってしまった工場など。

これらは資産として計上されていますが数字ほどの価値がないといえます。もしこれらのものを見切って損切りすると、利益圧迫要因となり、最悪は赤字になって、結果として純資産の部を減らすことになります。つまり、先に述べた純資産の部がブラスだからと言って、実は見かけ上のものかもしれないのです。したがって、資産の中に売上への貢献度の低いものが入っていなかいと疑ってみる必要があるわけです。

決算書のページをめくったら、まずは純資産がプラスなのかを見ろ!

もう一段階掘り下げるための貸借対照表の分析の方法がわかってくると、決算書を読む力がついてきます。

あなたなら、決算書を見る時にどこから見ますか?よくわからないということなら、一度この方法を試してみてください